仙台グリーフケア研究会 訪問記

2012年7月に看護の短期大学である仙台青葉学院短期大学で行われている「仙台グリーフケア研究会」を訪れお話を伺い、ワークショップを見学させていただきました。仙台市立病院の滑川明男先生が代表、青葉学院で教鞭をとっておられる佐藤利憲先生が主となり活動しています。2004年より活動を開始し、自殺対策の活動から、自死による遺族のケアの「わかちあいの会」、そして2009年より死因を問わない「わかちあいの会」を、2010年に子どものためのグリーフサポートを行う「仙台ワンデイプログラム」を開始し、あしなが育英会と提携しながら大切な人を亡くした子どもと大人のグリーフサポートを行っています。

2011年に東日本大震災が起こり、その後は電話やメールでの相談窓口の設置、家庭訪問などを実施。自治体や各支援団体とも連携して、講演会や多方面へグリーフサポートの啓発活動、学識者や文化人等の方々との情報交換も行い、「わかちあいの会」と「ワンデイプログラム」を毎月開催しつつ、サポートを行うファシリテーター(以下FT)の養成講座も定期的に(年3回)行っています。
ワンデイプログラムは、あしなが育英会のレインボーハウスと同様なプログラム構成となっています。なお、レインボーハウスはKids Hurt Too Hawaii(以下KHTH)のシンシアさんが立ち上げに協力したもので、KHTH、ひいてはポートランドのダギーセンターに通ずるプログラムとなっています。

子どもは0才~中学生が対象で、こちらではFTを子どもの数と同数にして、子どもの安全と心に細心の気配りを行っています。
現在では平均20人程度のこどもが来所、同時に子どもの保護者のためのプログラムも併設し、大人のケアも同様に重要と考えています。もっとも、保護者のプログラム参加は任意で、自分の時間のために使っても良いこととされています。

プログラムは以下のようなスケジュールで行われ、始まりの輪と終わりの輪、おやつの時間も含めて3時間半となっています。その前後には設営と撤去(現状復旧)、FTミーティングがあり、朝10時から19時近くまででした。

・10:00 FTミーティング
・11:00 設営、スタッフ昼食
・12:30 開場
・13:00 始まりの輪
・13:30 遊び開始
・14:30  おやつタイム
・16:00 終わりの輪、子ども見送り
・17:00 スタッフミーティング

会場の様子

ぬいぐるみ(お話)の部屋
(始まり、終わりの輪でも使用)

ゲームの部屋
(お絵かきセットなどもありました)

託児所

遊びの部屋
(広いスペース(体育室)に遊ぶ道具がたくさんありました。ドリンクの準備もあり、FTの皆さんは適宜子どもに勧めていました。)
  

おやつの部屋、お昼寝の部屋
 

学校を使用しているので、部屋が広く、また、部屋数が多いので子ども達は思い思いの遊びが出来ます。おもちゃなどは全て寄付によるものとのことですが、非常に多くのおもちゃや道具があり、とても恵まれた環境であると思いました。子ども達は思う存分遊び回ったり、ゲームや勉強するなどしていました。
FTの皆さんのミーティングを拝見して、全員が思いを一つにして子ども達を大切に優しく思いやっている姿にとても感動を覚えました。FTのみなさんの気配りや観察眼も大変細やかでした。また、FTの方々は他のわかちあいの会等にも研修に行かれて研鑽を積まれていらっしゃるとのことで、志の高さも伺えました。
プログラムの日にFTの人数確保がぎりぎりだとおっしゃっていましたが、佐藤先生は看護学校で教えられており、学校でFTを募集したり、FTの学生さんがクラスメイトを誘ったりなどしてFTには多くの青葉学院の学生さん達がいらっしゃるので、FTの皆さんとのコミュニケーションや事務連絡も比較的行いやすいのではないかと思いました。学生さんどうしの連携もあるので、FTも比較的大勢参加頂ける環境が築けていてすばらしいと思いました。もちろん学生さん以外にも地域の方など多くのFTもいらっしゃいます。佐藤先生もFTの皆様も毎日非常にお忙しい中、グリーフケアの活動のために時間を割いていらっしゃいました。

今後は泊まりがけ一泊旅行や四季折々の文化行事なども行っていきたいとおっしゃっていました。
加えておびただしい数のおもちゃや道具の寄付、そしてぬいぐるみやキルト(布団)などのクリーニングを無料で行ってくれる方もいらっしゃいますし、毎回FT養成講座には50人くらいの方が受講されるとのことで、地域の皆様の温かいお心も感じられる、素敵な団体でした。

子どものためのグリーフサポートという目的がAIMSと同じであるため、今後は情報の共有や何かの折りにご協力もいただけるとのことで、とても心強く思いました。
(金子美紀)

仙台グリーフケア研究会のページはこちらです。
http://www.sendai-griefcare.org/
佐藤利徳先生の研究室のページはこちらです。
http://kodomoshien.com/