Kids Hurt Too Hawaiiのボランティア養成セミナーに参加して

 

 AIMSの創立者である小林真理子の友人で、AIMSの活動を応援いただいている袰岩奈々さんより、「Kids Hurt Too Hawaiiのボランティア養成セミナー」に参加した際の体験談を寄稿いただきました。
「Kids Hurt Too Hawaiiのボランティア養成セミナー」は、Kids Hurt  Too Hawaiiの活動に参加するために受講が義務付けられているセミナーです。
AIMSでは、Kids Hurt Too Hawaiiのシンシア・ホワイトさんと伊藤ヒロさんをお招きし、このボランティア養成セミナーをベースとした特別プログラムを開催して参ります。詳しくはこちら

袰岩奈々(ホロイワナナ)さんのプロフィール

心理カウンセラー。不登校生徒や家族を対象とした教育相談員を経て「カウンセリングルームプリメイラ」を開設。『edu』(小学館)『のびのび子育て』(PHP)をはじめ多くの雑誌で心理関係記事を担当している。著書に『感じない子どもこころを扱えない大人』『◯のない大人×だらけの子ども』(ともに集英社新書)『わが子が伸びる魔法の口ぐせ』(大和出版)など。2011年にホノルルに移住。キッズ・ハート・ツー・ハワイにて子どものグリーフケアのボランティアに携わる。

 

1月末と2月初めの週末、4日間のボランティア養成講座に参加しました。この講座は親や大事な人を離別や死別という形で失った子どもたちのサポートを行うKids Hurt Too Hawaii(KHTH)が行っているものです。KHTHはホノルルにあるNPO団体で、子どもに対するグリーフケアの先鞭ともいえるダギーセンターで、長年、ディレクターをなさっていたシンシア・ホワイト氏と夫である伊藤ヒロ氏とが開設したものです。ボランティアによって運営されているため、ここに通う子どもたちのケアもボランティアが中心。この講座は、KHTHのボランティアを養成するプログラムなのです。

4日のうち、前半の2日間は自分を素材にして取り組むプログラムでした。自らのこれまでの死別や離別といった体験を参加者同士がシェアする時間を多くとります。シンシアさんから、子どもたちが身近な人の死やトラウマ体験にどのように対処するかといったレクチャーを聞くとともに、参加者それぞれが、自分の体験を無理のないペースでじっくり話します。シンシアさんや他のメンバーに聞いてもらいながら、自分の感情と向き合う時間をとります。私自身はあまり多くの死別体験をしていないのですが、日本を離れて間もない中、家族、仕事、日本などとの離別について、また昨年亡くなった友人のことについて、充分に時間をかけながら、日本を離れることが、思いのほか喪失体験になっていたことや、亡くなった友人に対して申し訳ない気持ちを抱いていたことに気づくなど、ドギマギしながらも新鮮な発見がありました。

後半の2日間は実際のセッションの間、子どもたちとどのように接して行くかについて、ロールプレイやコラージュ作りなどを行いながら、進みました。さまざまなワークの象徴的な意味は大変、興味深いです。KHTHやダギーセンターでは、子どもたちに対して彼らの行っていることをそのまま言語化して返す、という対応をとります。「◯◯ちゃんはボールを投げます」「ボールが壁に当たって、◯◯ちゃんに戻ります」とナレーターのように表現していくのです。また、安全で安心できる場を維持するためにある、「大人と一緒にいる」「傷つけない」「パスします」などのルールやそのルールが破られたときの対応の仕方なども学びます。

死や別離の悲しみへの反応についての理解は、大人自身が安心して子どもたちの動きや気持ちを見守るために必要なものだと感じます。自分自身の体験やそのときの感情について、だれかとシェアし、把握してあるということが重要だと感じます。なぜなら、子どもたちが体験している様々な感情に対して、過剰に抑圧的にならず、また、巻き込まれすぎず、お互いにオープンにシェアできることにつながるだろうからです。

シンシアさんのおっしゃった「悲しみは一人で抱えると苦しみになるけれど、みんなでシェアすると力になる」という言葉が印象的でした。

 (ホノルル在住 袰岩奈々)